
新聞やニュース、SNS等で、飲食店での事故・トラブルの記事を目にすることがあります。具体的には、店舗で喫食されたお客様が下痢や嘔吐、腹痛といった体調不良を起こされる事例、洗剤の入った水を飲み水と誤って提供してしまうという事例、食品に金属物やガラス等が入っていて怪我をされたという事例など様々な事故が発生しています。
このような食品事故ですが、要因別に、生物的リスク、化学的リスク、物理的リスクに分類することが出来ます。中でも生物的リスクは、発生頻度も高く、飲食店において特に気を付けなければいけないものといえます。
本コラムは過去に当社で行った無料セミナーの中で、同題名のセミナーをコラムにしたものです。
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1.実際の食中毒発生件数
実際の食中毒発生件数を見てみましょう。こちらの円グラフは令和3年から7年までの5年間に発生した食中毒発生件数を要因別に集計したものです。食中毒発生の要因としては先にあげた中で、化学的リスク(洗剤や薬品、溶剤といった人工物、きのこやふぐなど毒を持った生き物が原因となる自然毒)、生物的リスク(細菌やウイルス、寄生虫)があげられます。円グラフを見ると、化学的リスクが化学物質と自然毒をあわせても6.1%であるのに対し、生物的リスクは細菌、ウイルス、寄生虫をあわせると92.0%と大部分を占めています。
引用元:農林水産省HP

なお、食中毒の発生件数は、令和7年で1,172件発生しており、患者数は24,727名にも上ります。
引用元:農林水産省HP
別の統計※になりますが令和7年の施設別事故発生件数では飲食店での発生が全体の56.1%となり、次に多い家庭での発生(7.3%)、事業場での発生(4.4%:事業所や保育所、老人ホームの給食施設、他)と比較しても多く発生しています。
※ 厚生労働省の統計(食中毒発生状況)の『令和7年(2025年)食中毒発生状況[49KB]』

次に、このグラフは令和3年から7年までの5年間での各月毎の病因物質別食中毒発生件数の平均を示しています。年によりばらつきはあるものの、どの月にどういった食中毒事故が起こりやすいかが見て取れます。食中毒事故は季節により多い少ないはあるものの、年間を通して発生していることに、まず気が付くことができます。
引用元:農林水産省HP
中でも生物的リスクに注目してみると、寄生虫による食中毒については年間通して一定数発生しているのに対し、細菌による食中毒は湿度や温度が高い時期に発生件数が増加する傾向にあることがわかります。一方、ウイルスによる食中毒は低温で乾燥している12月から3月の冬の時期に多く発生しています。旬の食べ物である貝類を摂取する機会が増える事もあり、ノロウイルス食中毒は、例年冬期に多く発生しています。
化学的リスクによる食中毒の発生件数は限られていますが、春と秋に増える傾向があります。これは春の時期は山野草を収穫した時に、毒を持つ植物を誤って食べてしまう事によるもの、秋の時期はきのこを収穫した際に、誤って毒きのこを食べてしまう事が主な原因となっています。
本コラムでは、食中毒の原因となる生物的リスクと化学的リスクについて、代表的な要因とその予防方法について紹介いたします。
2.飲食店厨房における生物的リスクってなに?
飲食店厨房における生物的リスクは、細菌・ウイルス・寄生虫に分類されます。
細菌の中には通常の加熱調理でやっつけることが出来る菌や、それでは死滅しない耐熱性を持っている菌、毒素を産生する毒素産生菌、酸素が存在すると死滅する偏性嫌気性菌、酸素があってもなくても増殖できる通性嫌気性菌、多くの細菌が1万個以上で発症する中、500個以下の少量でも発症する菌等、様々な種類が存在します。したがって、単純に加熱すれば大丈夫という簡単なものではなく、それぞれの微生物の特徴に応じた対応が求められます。
また一般的な飲食店では、そもそも加熱調理をして提供する食品は限られており、多くのメニューでは切って出すだけ(野菜のサラダ、ハムやローストビーフなどの調理済食材、刺身などの未加熱食材)の調理工程になっています。増殖とともに毒素を産生する菌であれば、そもそも増やさないような管理が必要となりますし、少量でも発症するような菌であれば、いかに食材に付けないようにするかの管理が必要です。
ウイルス性食中毒では、ノロウイルスが患者数の約半分を占め、寄生虫ではアニサキスが代表的な要因としてあげられます。

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3.飲食店厨房における化学的リスクってなに?
飲食店厨房における化学的リスクの代表例は、洗剤などの化学製品や、ヒスタミンがあげられます。
洗剤では、機器や食器の洗浄不良による残留、酒びんなどの食品用容器を洗剤保管に用いたり、漂泊中のポット内の水を提供したりすることでの誤飲食が起こっています。
化学的リスクにはアレルギーも考えられます。
化学的リスクによる食中毒を防ぐためには、調理器具などの洗浄方法や、提供オペレーション、食材の取り扱いなどについて、現場担当者への教育が重要なポイントとなります。

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4.食品及び従業員由来のリスクと対策
上記で挙げた食中毒を発生さないために、飲食店で出来ることはどういったことがあるでしょうか。食品由来のリスクと従業員由来のリスクについて分けて紹介します。
食品由来のリスク

代表例として生肉をみていくと、豚肉や鶏肉等には共通してサルモネラ菌やカンピロバクターが考えられます。これらの菌は熱に弱く、食品の中心温度が75℃以上で1分以上の加熱で死滅します。特定加熱食肉製品では63℃で30分以上といわれています。これらの菌による食中毒を防ぐためには、生肉に触れた調理器具で調理後の食品を取り扱うことによる二次汚染にも注意が必要です。器具の使い分けや洗浄殺菌を徹底することもポイントです。

サルモネラ菌は生肉だけでなく生卵も注意する食材としてあげられます。従来は産卵の際に卵の表面が汚染されるオンエッグ汚染のみが考えられていましたが、近年では鶏卵内部に保菌しているインエッグ汚染も考えられています。増殖タイミングは共通して殻が割れた後になります。サルモネラ菌は常温で増殖するスピードが高まることから、割り置きは危険な行為となります。過去に2時間割り置きした卵を使用して調理したことで、集団食中毒が起きてしまった事例もあります。
化学的リスクに分類されるヒスタミンは、赤身魚に多く含まれるヒスチジンと、ヒスタミン産生菌が増殖する際に出す酵素が反応してヒスタミンが生成されます。サルモネラ菌と同様に常温の温度帯で増殖スピードが高まるため、温度管理を意識することが重要です。

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カンピロバクターは、日本において細菌による食中毒の中で最も発生件数が多い食中毒菌 (年間300件、患者数2,000人程度)となっており、特に注意すべき食中毒菌の一つとされています。今回はカンピロバクターの特徴とその対策方法についてご紹介します。
従業員由来のリスク
人の手は菌の運び屋とも呼ばれており、食中毒の大きな原因の一つです。
特に注意すべきなのは人の肌に存在していることの多い黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌は健康な人でも約30%の人が保菌しているといわれています。そのため、手洗いが不十分であったり、顔や髪の毛を触った手で調理をすることにより、食材や食器器具に菌を付着させてしまい食中毒事故を引き起こす恐れがあります。
黄色ブドウ球菌だけでなく、ノロウイルスも人を介して発生することが多い食中毒要因です。ノロウイルスに感染した従業員が厨房内に入ることで調理場や食品が汚染されます。
ノロウイルスは通常の食中毒菌と違い、10個から100個程度の少ないウイルス量で発症するといわれています。そのため、体調確認や手洗いを徹底することで厨房内にウイルスを持ち込まないことを意識しましょう。手洗い以外にも塩素系漂白剤による厨房設備の消毒も効果的です。

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5.まとめ
近年のデータを見てみますと、食中毒はコロナウイルス感染症の規制緩和後増加しており、衛生意識の再徹底が求められます。そのため、取り扱われている食材や調理現場の管理状況を見て、どのようなリスクがあるのかを分析し、食中毒事故を起こさないためにはどうすればいいのか、今実施している管理方法に漏れがないのかを再度確認してみてください。飲食店に潜むリスクついて理解を深め、適切に対処することが、お客様の安全安心に繋がります。
詳しくは、「コンサルティングサービス」のページをご覧ください。

こちらのコラムは コンサルティング本部 西日本Aグループ 中田 啓介 が担当いたしました。
コンサルティング本部では飲食サービス、給食、ホテル、冠婚葬祭などの事業を営むお客さまに対し厨房の衛生点検や、品質管理システムの構築支援、従業員教育などのサービスをご提供しています。 年間40,000店舗以上の点検実績をもとにした衛生コンサルティングサービスにより、お客さまと共に消費者の安心と安全に貢献しています。









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