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栄養強調表示について  ~栄養素たっぷり!そんな表記には栄養成分分析が必要です~

栄養強調表示について  ~栄養素たっぷり!そんな表記には栄養成分分析が必要です~

 食品の栄養成分を包装に表示する際、「たんぱく質がとれる」「食物繊維たっぷり」「減塩」「低脂肪」など、特定の栄養成分を多く摂取できること、または過剰にならず適切な量を摂取できることをアピールしたい場面はありませんか。このような表示は栄養強調表示と呼ばれ、法律で定められた基準を満たす必要があります。

本コラムでは食品表示法に定められた食品表示基準を中心に栄養強調表示をする際の注意点を解説します。

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1.栄養成分表示の概要

 まず栄養成分表示の基本事項について簡単におさらいしていきます。食品表示基準にて、原則として容器包装に⼊れられた加工⾷品には栄養成分表⽰として、「熱量」「たんぱく質」「脂質」「炭⽔化物」「⾷塩相当量」を表⽰することが義務付けられており、この5項目は必ず表示しなくてはいけません(義務表示)。この義務表示の他に、「推奨表示」「任意表示」があります。推奨表示は、積極的に表示されることが推奨される栄養成分で、飽和脂肪酸や食物繊維が該当します。任意表示は商品に付加価値を付けたい場合など、容器包装に栄養成分を表示する場合に栄養成分表示枠内に表示が必要となるもので、ビタミン類やミネラル類等が該当します。なお、食品表示基準に定められた成分以外を栄養成分表示の枠内に表示することはできません。

 この表示値は、どのように求められているのでしょうか。 まず、製品サンプルを分析する方法が挙げられます。食品の栄養成分は、原材料のばらつき、製造工程の変更などにより変動する可能性があるため、分析にかける方法が最も実際のサンプルに沿った結果を得られると言えます。この際、ロット間のバラつきや、季節による変動、加熱調理による影響や経時変化などが考えられるため、複数のサンプルを分析することや、時期を変えての分析、定期的な分析をすることが望ましいでしょう。 その他、日本食品標準成分表などのデータベースの値を参照する方法や、データベースなどから得られた原材料の値から計算するといった方法をとることも可能です。

 

関連コラム:食品表示はなぜ必要なのか? ~食品表示の目的と伝達すべき情報~

本コラムでは、食品表示が必要な理由と、表示するべき情報について解説します。

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2.栄養強調表示とは何か

 栄養強調表示は、「たんぱく質がとれる」「低カロリー」「減塩」など、食品に含まれる特定の栄養成分について、多いことや低減されていることを強調して表示することです。
栄養強調表示をするためのルールは、消費者に誤解を与えないよう厳格に設けられています。

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(1)絶対表示

栄養成分表示における絶対表示とは、特定の栄養成分が食品中にどれくらいの量含まれているか、または含まれていないかを強調して表示する方法です。これらは、特定の栄養成分の量が、定められた基準値より「多い」または「少ない」場合に表示できます。

高い旨、含む旨

「高○○」「多○○」のように栄養成分の含有量が多いこと、「供給」「使用」「添加」など栄養成分を含むことを強調する表示です。

含まない旨、低い旨

「無○○」「ゼロ○○」など栄養成分を含まないこと、「低」「ひかえめ」「ライト」など含有量が少ないことを強調する表示です。


(2)相対表示

相対表示とは「~倍」「~g強化」「~%オフ」「~%カット」など通常品や類似品など他の同種の食品と比較して特定の栄養成分の量や熱量が多いまたは少ないことを強調して表示する方法です。絶対表示がその食品の単独の栄養成分量に基づくのに対し、相対表示は「比較」によって特徴を伝えます。

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これら絶対表示・相対表示は、それぞれ強調したい栄養成分の含有量が、食品表示基準に定められた基準を満たす必要があり、またその栄養素も栄養成分表示に記載する必要があります。消費者の誤解を避けるため、厳格な基準遵守が求められています。

 

(3)無添加強調表示

特定の栄養成分またはその構成要素を「加えていない」「使用していない」ことを強調します。栄養成分の無添加強調表示には以下が挙げられます。

糖類を添加していない旨の表示を行う場合(「糖類無添加」「砂糖不使用」等)

食品にショ糖、ぶどう糖、ハチミツ、コーンシロップ等を含む糖類を一切加えていないことを強調する表示です。表示するためには、糖類の含有量を表示する必要があります。

「糖類ゼロ」との違いは?

「糖類無添加」は「糖類を加えていない」ことを指します。また、ジャムやゼリー等の糖類に代わる原材料や添加物を使用すること等も認められませんが、原材料に由来する糖類が含まれることは許容されます。一方で、「糖類ゼロ(無糖)」は食品100g当たりの糖類含有量が0.5g未満であることを指します。原料由来の糖類も含めて実際に含まれる量がごく微量である場合に使用できます。


 

ナトリウム塩を添加していない旨の表示を行う場合(「食塩無添加」等)

食品にナトリウム塩を一切加えていないことを強調する表示です。表示する場合は、ソースやしょうゆ等のナトリウム塩に代わる原材料や添加物を使用することも認められません。

「食塩ゼロ(無塩)」との違いは?

「食塩無添加」は「食塩を加えていないこと」を指すため、原料由来のナトリウムが含まれることは許容されます。一方で「食塩ゼロ」は、食品100g当たりのナトリウム含有量が5㎎未満であることを意味します。これは、自然由来のナトリウムも含め、実際に含まれる量がごく微量である場合に表示できます。



 

3.栄養強調表示を行う際のルール

 栄養成分表示の表示値は分析以外にもデータベースを参照する方法や計算を用いる方法でも求めることができますが、栄養強調表示をする場合、データベースを参照した値や計算値等は使用できません。栄養強調表示は商品の付加価値をアピールするために任意で行うもので、表示値の正確性は担保されるべきであることから、強調された栄養成分の表示値に用いる値は、食品表示基準で決められた分析法(公定法)で求める必要があります。

公定法について

前述の通り、栄養強調表示をする場合には公定法による分析値を用いなければなりません。 国や地方公共団体が行う収去検査は食品表示基準に定められた公定法で行われ、許容差の範囲を逸脱すると表示違反となります。消費者への適切な情報提供という観点から、食品表示基準別表第9第3欄に掲げられた方法以外は栄養強調表示の表示値に使用することはできません(一般用生鮮食品において栄養強調表示をする成分以外の栄養成分及び熱量は除く)。

近年、技術の発達により、公定法と同等の結果を得られるその他の分析方法も存在しています。栄養成分分析を依頼する際には、分析方法についてもよく確認することをおすすめします。公定法以外の簡易的な方法をとっている場合もありますので、栄養強調表示に使用する場合は、価格や納期だけでなく分析方法の内容についても確認しておきましょう。

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4.まとめ

 特定の栄養成分を積極的に摂取したい、または摂取量を制限したいなど、消費者の健康的な食生活のために、栄養強調表示は重要な手がかりになります。消費者に誤解を与えないために、栄養強調表示には厳格な基準が設けられており、基準の遵守が求められます。そして、栄養強調表示をする際の表示値の求め方は必ず公定法でなければなりません。

また本コラムのテーマである栄養強調表示以外にも、栄養機能食品への表示についても公定法の分析値が求められます。当社では、公定法に準拠した栄養成分分析を実施しております。公定法による分析や栄養成分表示の対応をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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こちらのコラムは 検査本部 理化学グループ が担当いたしました。

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