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糖質とは?食物繊維ってなにもの?-その働きや栄養成分表示について紹介します。-

糖質や食物繊維ってなにもの?

近年、商品パッケージやコマーシャルなどで目にする機会の多い「糖質」「食物繊維」。
最近では健康志向の高まりとともに「糖質制限」が注目され、「糖質オフ」を謳った商品も多くみかけます。
さらに、食物繊維についてはなんとなく体に良いものというイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。

しかしながら、これらはどちらも炭水化物の仲間であり、体にとって大切な栄養素となるため、適切に摂取することが重要です。今回は糖質や食物繊維の働きや栄養成分表示についてご紹介します。

1.糖質、食物繊維ってなに?


(1)糖質とは


糖質とは炭水化物のうち食物繊維以外の総称であり、体内で消化されてエネルギー源となるもののことです。
主にパン、米、麺、果物、野菜などに含まれています。
体内に入った炭水化物は、消化酵素の働きによって人が消化吸収できる「糖質」と、消化できない「食物繊維」に分けられます。

さらに、糖質は「単糖類」「二糖類」「多糖類」などに分かれます。
「単糖類」とはブドウ糖や果糖などのことをいい、「二糖類」には単糖が2個つながったショ糖などがあります。
「多糖類」は単糖類が10個以上つながったもので、でんぷんやセルロースなどがあります。

また、似た名前を持つものに「糖類」があります。
「糖類」は糖質のうち、ブドウ糖やショ糖などの単糖類・二糖類の総称で、糖質よりも消化吸収がされやすい特徴があります。

(2)食物繊維とは


食物繊維について、日本では「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」という定義が広く使用されています。
海外ではその定義が異なり、例えばアメリカでは「消化されない不溶性または水溶性の3糖以上の炭水化物および植物性のリグニンであり、ヒトの健康に有益な効果がある生理活性を有するとFDAが認めたもの」とされています。

食物繊維にはさまざまな種類がありますが、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維に分けることができます。
不溶性食物繊維にはセルロースやキトサンなど、水溶性食物繊維にはペクチンやグルコマンナンなどがあります。
また、より消化されにくい性質を持った難消化性デキストリンやオリゴ糖などの成分も食物繊維に含まれます。

2.どんな働きをする?


(1)糖質の働き


炭水化物のうち、糖質は主要なエネルギー源として働きます。
摂取された糖質は消化されて吸収される過程で、ブドウ糖という単糖に分解されます。 そして、ブドウ糖は細胞に取り込まれ、エネルギーの生成に利用されます。
このエネルギーは、筋肉や内臓器官の働きを維持するために利用されます。

適切な糖質摂取量を維持することで、身体に必要なエネルギーを効率的に供給し、健康を維持することができます。
しかし、摂取量が過剰であった場合には体脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病のリスクが増加するため、適切な量の摂取が求められます。

(2)食物繊維の働き


食物繊維は魚介類や肉類などの動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品に多く含まれます。
消化酵素の作用を受けず大腸まで達する成分であり、大腸内の環境を改善する腸内細菌を増やすなどの整腸効果があることでよく知られています。


さらに脂質や糖、ナトリウムなどを身体の外に排出する働きももっています。
血糖値上昇の抑制や血液中のコレステロール濃度低下などの作用があるため、肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。

しかしながら、食生活の変化などにより日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあります。
食物繊維は健康に深く関与する成分であることから積極的な摂取が勧められます。

3.栄養成分表示


消費者が食品を選択する上での適切な情報を提供するため、2020年4月1日から食品表示基準が完全施行されました。
現在、食品表示基準において表示が義務付けられているのは熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目です。
糖質、食物繊維には表示義務はなく、糖質は任意表示、食物繊維は推奨表示の項目となっています。
さらに、推奨表示項目である食物繊維は表示を積極的に推進するよう努めることとなっています。

しかし、糖質または食物繊維のいずれかの量を表示する場合は、糖質および食物繊維の両方を表示しなければなりません。
表示に使用する値は分析により求められたものや、日本食品標準成分表等を用いた値などを使用することができます。

また、栄養成分を強調表示する際にも基準が定められています。
強調表示とはある栄養成分を「多く含んでいること」や「含まないこと」などを表示することをいいます。
強調表示をする際には分析により求められた値を使用する必要があり、合理的な推定により得られた値を使用することはできません。
例えば「食物繊維たっぷり」のような表示を商品に行いたい場合、定められた分析方法により求められた食物繊維の値を栄養成分表示として使用する必要があります。

4.糖質や食物繊維の求め方


(1)糖質


食品表示基準において糖質は、「当該食品の質量から、たんぱく質、脂質、食物繊維、灰分及び水分量を除いて算出する」とあります。
つまり、「糖質」を直接測定するわけではなく、たんぱく質等を分析し、その結果から計算して求めます。
糖質を知るためにはたんぱく質、脂質、食物繊維、灰分、水分という5種類の分析を行う必要があるのです。

(2)食物繊維


次に食物繊維について食品表示基準では、「基本的にはプロスキー法(Prosky 法、酵素-重量法)によって定量されるもの」とされています。
水溶性食物繊維の中にはプロスキー法では測定できないものもあるため、それらについては「高速液体クロマトグラフ法」で測定を行います。
プロスキー法では不溶性食物繊維や高分子水溶性食物繊維を測定することができますが、低分子水溶性食物繊維を測定することができません。

低分子水溶性食物繊維の例として、難消化性デキストリンやイヌリンなどがあります。
そのため、これらをはじめとした低分子水溶性食物繊維を含む食品については高速液体クロマトグラフ法を用いた測定を行うことが望ましいといえます。





5.最後に


糖質は体に良くない、食物繊維は体に良いというようなイメージを持たれがちですが、そのどちらも体にとって大切な栄養素の一つです。 それぞれを適切なバランスで摂取し、健康的な食生活を送ることで生活習慣病の予防など健康を維持することに繋がります。 そのためには食品に記載されている栄養成分表示について理解することも大切です。 表示の内容を理解することで何の栄養素がどのくらい含まれているか確認できるようになり、適切な量の摂取が可能になります。 糖質や食物繊維に限らず、さまざな栄養素をバランスよく摂り健康的な食生活を送るよう心がけましょう。

BMLフード・サイエンスでは、今回ご紹介した糖質や食物繊維をはじめ、食品表示基準により表示が義務付けられた栄養成分5項目などさまざまな分析を行っております。
そのほかにも食品添加物やアレルゲン検査など幅広い分析について対応しております。 また、食品表示の専門家も多数在籍しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
詳しくは、「食品表示関連業務」のページをご覧ください。

BMLフード・サイエンス飲食店アレルギー対策

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