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セレウス菌の特徴と予防対策 「加熱したのに食中毒になる?」

セレウス菌の特徴と予防対策 「加熱したのに食中毒になる?」

セレウス菌は、食中毒の原因となる代表的な菌の一種です。このコラムでは、セレウス菌の基礎知識から、厨房での衛生管理まで、詳しく解説していきます。セレウス菌による食中毒を防ぐために、ぜひ参考にしてください。

本記事は2023年9月29日に『セレウス菌の予防対策 「加熱しても死なない菌?」』として公開した内容を、2026年8月25日時点の情報に合わせて追記・更新し、内容を一部修正したものです。

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1.セレウス菌の特徴

 セレウス菌はBacillus(バチルス)属の一種でグラム陽性の通性嫌気性桿菌 (酸素が存在する環境でも、酸素がほとんどない環境でも生存できる)です。この菌は、土壌、空気及び河川水等の自然環境をはじめ、農産物、水産物及び畜産物などの食料、飼料等に広く分布しています。10~50℃の温度帯で増殖しますが、7℃以下の低温で増殖する菌株も存在します。

また、セレウス菌の特徴は芽胞を形成する事であり、形成した芽胞は100℃の加熱や乾燥などの厳しい環境下でも影響を受けずに強い抵抗性を示します。 また、菌の増殖と共に毒素を産生する事も知られています。

2020~2025年の6年間では毎年1~5件の食中毒事故が発生しており、件数に対して患者数が多くなることも特徴の1つです。

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食中毒統計資料 参照

 

(1)セレウス菌は加熱しても死なない

セレウス菌は発育の段階で生育に不利な環境になると、芽胞と呼ばれる特殊な細胞構造物を作り、悪条件下でも生き延びようとします。

芽胞自体は強固な構造で、100℃ 30分間の加熱調理でも死滅しません。また、乾燥した環境下でも長期間にわたり生存できます。

(2)セレウス菌による食中毒症状は「嘔吐型」、「下痢型」に分かれる

セレウス菌は嘔吐毒及び下痢を引き起こす毒素を産生し、食中毒の発症に関与します。 そのため、セレウス菌は「嘔吐型」と「下痢型」の2つのタイプに分類されます。

「嘔吐型」は菌が食品内で増殖し「セレウリド」と呼ばれる毒素を産生します。 セレウリドは熱に対して強い耐性を持っており、121℃ 30分間の加熱、4℃で60日間の冷蔵、pH2~11の条件下でも安定すると言われています。

一方、「下痢型」は食品に付着した菌が体内に入り、腸管内で増殖する際に「エンテロトキシン」と呼ばれる毒素を産生します。エンテロトキシンはペプシンやトリプシンなどの酵素や、60℃以上の加熱、pH4以下の酸性条件などによって失活します。

(3)セレウス菌の汚染経路

セレウス菌は芽胞を形成した状態で土壌環境中などの自然界に広く分布しており、主に穀類などの農産物およびその加工品や魚介類、肉類、卵類、野菜類に付着しています。

米、小麦などの穀類を使用する食品(米飯やパスタ)を加熱する際に菌自体がすでに芽胞状態であると通常の加熱では死滅させることができず、食品の温度が下がった時に生き残った芽胞が発芽することで増殖し、食中毒を引き起こします。

(4)セレウス菌の媒介食品

日本のセレウス菌食中毒の原因食品は、穀類とその加工品として焼飯類、米飯類、麺類などの事例が多く、その次に焼きそばやスパゲッティなどの麺類を原因食品とするものが多くなっています。また、海外では乳児用粉ミルクに混入した可能性があるという事例もあります。

そして、食中毒症状の違いにより媒介食品が異なる傾向も見られます。 嘔吐型はチャーハンやピラフ、焼きそば、スパゲティなどを原因とする事例が多く、下痢型は肉製品、スープ類、プリン、牛乳、乳製品など多種の食品での食中毒事例が発生しています。

関連コラム:チャーハン症候群を防ぐ安全な加熱・保存と衛生管理の基本

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(5)セレウス菌による症状

嘔吐型食中毒と下痢型食中毒の特徴は表のとおりです。

  嘔吐型食中毒 下痢型食中毒
発症菌量 10⁵ ~10⁸ /g 10⁵ ~10⁸ /g
毒素産生場所 食品 小腸
潜伏期間 0.5~6時間 8~16時間
発症期間 6~24時間 12~24時間
主症状 悪心、嘔吐 腹痛、水様下痢
原因食品 米飯類、麺類等 肉類、野菜類、乳製品等
※食品安全委員会ファクトシート(作成日:平成23年11月24日)セレウス菌食中毒(3)食中毒(感染症)の症状より引用


症状としては一両日中に回復し、一般的に経過は良好です。

 

2.セレウス菌の予防対策 抑えるべきポイント

 セレウス菌は自然界に広く分布しているため食材への汚染を防ぐことは困難です。また、芽胞や産生された毒素は通常の加熱で死滅・失活させることはできないため、調理後に菌を増殖させないように食品を取り扱う必要があります。

(1)調理後の保管法に注意

セレウス菌は28℃~35℃の温度帯が最も増殖しやすい状態となります。調理後すぐに提供・喫食しない場合は8℃以下で冷蔵保管、もしくは55℃以上で温蔵保管しましょう。また、冷蔵保存の際は小分けにして保管することや氷水を張ったシンクに鍋を入れ攪拌することで冷却速度を速めることができます。

(2)環境の清潔保持

野菜等を原料として用いる場合は、適切な洗浄により付着した土を十分取り除きましょう。 食品を取り扱う施設や、調理器具などを清潔に保ち、必要に応じて消毒を行うなど、環境からの交差汚染を防ぐよう注意しましょう。

(3)食品取扱者の衛生教育が重要

食品衛生教育とは、食中毒の発生防止をはじめ、安心・安全に食品を調理製造するために、食品衛生に関する知識を事業者が新人や既存の従業員に対して行う教育です。
食品衛生教育の実施は、食品衛生法という法律で以下のように定められています。


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第3条
食品等事業者は、(中略)自らの責任においてそれらの安全性を確保するため、販売食品等の安全性の確保に係る知識及び技術の習得、販売食品等の原材料の安全性の確保、販売食品等の自主検査の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
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食品衛生教育を実施し、食品の安心安全を確保することは、お客様のためだけでなく、事業を維持・発展させるためにも重要であることは言うまでもありません。

関連コラム:米飯の温度管理 〜セレウス菌食中毒を防ぐためには?〜

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3.厨房の衛生管理とは

 弊社では原材料をはじめ、調理後の食品中にどれ程のセレウス菌が存在しているかを検査で確認することができます。また、製造・加工時に使用した調理器具などを拭き取ることでセレウス菌による汚染状況を確認する環境検査も実施しておりますので、ぜひ弊社までご相談下さい。


 

 

4.厨房衛生での困りごとや、ご相談はBMLフード・サイエンスへ

 セレウス菌による嘔吐型食中毒は感染から発症までが非常に短く30分~6時間と言われています。 また、先に述べました通り芽胞や毒素は通常加熱では死滅・失活させることができない為、「菌を付けない」・「増やさない」が重要になってきます。

食中毒を未然に防ぐ手段としては、厨房の衛生管理が適切に行われているかを確認し、そこで働く人に対して食品衛生に関する習慣や知識を習得させ、さらに継続的に見直しを実施する事をお勧めします。

こちらについて弊社BMLフード・サイエンスは厨房衛生点検というコンサルティングサービスを提供しておりますので、ぜひお気軽にご用命ください。


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5.まとめ

 セレウス菌は土壌・植物等自然環境中に広く分布しているため、菌の付着を防ぐことはできません。穀類・食肉等様々な食品を汚染しています。本菌は芽胞形成菌であるため、芽胞形成後は通常の加熱処理では完全に死滅させることはできません。調理後は速やかに喫食または適切な温度帯で保管するようにしましょう。

弊社BMLフード・サイエンスでは食中毒をはじめとした食品事故を予防するために多種多様な検査やコンサルティングを行っており、食品に携わる皆様の食の安全安心を全力でサポートしてまいります。お困りの際は是非弊社までお気軽にご用命ください。

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こちらのコラムは コンサルティング本部 西日本グループ 深江 美帆 が担当いたしました。

コンサルティング本部では飲食サービス、給食、ホテル、冠婚葬祭などの事業を営むお客さまに対し厨房の衛生点検や、品質管理システムの構築支援、従業員教育などのサービスをご提供しています。 年間40,000店舗以上の点検実績をもとにした衛生コンサルティングサービスにより、お客さまと共に消費者の安心と安全に貢献しています。

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