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飲食店が実践すべきHACCP対応ガイド ~導入編~

飲食店が実践すべきHACCP対応ガイド ~導入編~

 食品業界でよく聞かれる「HACCP」という言葉はご存知でしょうか。HACCPとは飲食店に実施が義務付けられている衛生管理の手法のことです。

今回は飲食店で簡単にHACCPが導入できるように分かりやすくご紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

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1.飲食店におけるHACCPとは何か ~HACCPの定義と目的~

 HACCPとは、「Hazard Analysis Critical Control Point(危害分析重要管理点)」の略称で、食品の製造工程において、異物混入や食中毒などの危害を予防するための管理手法のことを指します。事前にすべての工程を洗い出し、危害を分析し、危害が発生し得る重要なポイントを監視することで、食品の安全を確保します。

一見難しそうな単語に見えますが、HACCPについて簡単に言うと「リスクの高いポイントを分析して計画を作成・実行し、記録で見える形にして管理しましょう」という取り組みのことです。飲食店では原材料の受け入れから調理を経て、お客様が召し上がるまでの安全性を確保することを目的に実践していきます。

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2.HACCP義務化の背景と制度概要

 2018年、変わりゆく食環境や国際化に対応するため、食品衛生法が大幅に改正されました。それに伴いHACCPに沿った衛生管理が制度化され、2020年6月1日に施行となりました。1年間の経過措置を経て2021年6月1日には完全施行となり、現在の飲食店営業者はHACCPに沿った衛生管理を実施することが義務付けられています。


 

3.HACCPの取り組み方

 HACCP義務化で求められる衛生管理の内容については、厚生労働省から以下の4つが挙げられています。

①衛生管理計画書を作成する
②作成した衛生管理計画書に基づいた実施
③実施したことを確認し、記録をつけて店舗で保管
④振り返りの実施

ここからはこの4つのポイントを順番にご紹介いたします。

(1)衛生管理計画書を作成する

衛生管理計画書は、食中毒予防3原則(つけない、増やさない、やっつける)を確実に実施するための方法を決めることで、ある作業を行うときに誰がやっても同じようにできるようにするために必要なものです。いわゆる、マニュアルやルールブックのようなものです。

衛生管理計画書は、一般衛生管理と重要管理項目の2つの要素から成り立っています。一般衛生管理は従業員の手洗いなど、どの食品においても行う基本的な事項です。一方、重要管理項目は食品の調理方法に合わせて行う衛生管理で重点的に管理をします。例えば唐揚げの火の通りなど、食中毒防止策の中でも特に適した手順が行われなかったときのリスクが高く重要な管理ポイントのことを指します。重要管理項目は、主に食品の調理方法の温度帯(メニュー分類)に合わせて計画を作成します。

HACCPで求められている項目は以下の通りです。

haccp-2.jpg


一般衛生管理と重要管理項目の各項目において、主に以下の3つを決めていきます。

■いつ
■どのようにしてチェックを行うか
■問題があった場合はどう対応するか

多くの項目があり、計画の作成が大変そうに感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、恐らく基本的には飲食店の皆さんが普段から行っていることですのでご安心ください。実際に例を見ていきましょう。

例1)一般衛生管理:原材料の受入の確認   

いつ:原材料の納品時
どのように:見た目で異常がないか確認する                     
問題があった場合:廃棄する

例2)重要管理項目:加熱するもの(唐揚げ)

いつ:揚げるとき
どのように:165℃の油で5分揚げる/中心温度を測定し、75℃以上であることを確認するなど
問題があった場合:再加熱する(揚げ時間を1分追加する)

いかがでしょうか。普段のオペレーションの中で実施されている方も多いかと思います。
HACCPは普段から皆さんが食品安全のために行っているオペレーションの共通認識を持つために、見える形にすることが目的の1つです。難しく考えずに普段のオペレーションを思い出しながら計画の作成に取り組んでみましょう。

衛生管理計画書の作成に関しては、業態に応じた手引書、どの飲食店でも使用可能なフォーマットが公開されています。こちらは衛生管理計画書のほかに記録用のフォーマットもあり、実際に使用している飲食店も多く、簡単にHACCPの導入を行うことができます。ぜひとも参考にしてみてはいかがでしょうか。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(厚生労働省):
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html
食品衛生の窓 HACCPに沿った衛生管理の取組支援(東京都保健医療局)
https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/haccp_torikumishien.html#kanrifile

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(2)作成した衛生管理計画書に基づいて実施

計画が作成できれば、それに基づいたオペレーションを実施します。
必要に応じて清掃マニュアルや手洗いマニュアルなどの手順書を準備しましょう。手順書があることで、従業員全員が同じオペレーションを実施できる体制が整います。

 

(3)実施したことを確認し、記録を行って店舗で保管する

定められた項目に対して計画通りに実施できていれば〇、問題があった場合には×を記入します。問題があった場合には、備考欄などに問題点とその際の対応方法を記載しておきましょう。また、冷蔵庫・冷凍庫の温度記録に関しては定時に温度を測定し、実測値を記録します。

 

(4)振り返りの実施

計画書通りに実施できていたか、問題はなかったか、定期的に振り返りを行います。同じ問題が多発している場合は、その原因を考えて計画書を見直しましょう。その後、店舗内で変更点を共有することも大切です。また、提供しているメニューの変更などがあった場合などにも、計画書の変更が必要です。

 

 

4.実際にあったHACCPの不備事例

ここからは弊社で実施している衛生検査において、飲食店で実際に見られたHACCPの不備例をご紹介いたします。

(1)計画書内容の不足

計画書の作成には、基本的に「①いつ ②どのようにしてチェックを行うか ③問題があった場合にどうするか」の内容が必要ですが、稀に問題があった場合の対応方法が抜けてしまっているケースがあります。

例)重要管理項目:刺身(第一グループ:冷たいまま提供する)

①いつ:提供前に
②どのように:見た目や匂いで判断             

例えば、刺身に異臭や変色などの問題があった際はどうしていますか?一般的には廃棄の対応を取る場合が多いかと思います。「腐っていたら捨てるなんて、当たり前だから書く必要はないんじゃないか?」、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。ここで大切なのは、計画書に明記しておくことで、従業員間で具体的な対応方法を共有することです。また、文書に残しておくことで、店舗での管理体制を第三者へ示すことも可能となります。

計画書の作成では、問題があった場合にどう対応するかまでを記載することが必要なため、忘れないようにしましょう。

(2)記録の不足

記録の不備でよく見られるのが「冷蔵庫の温度点検設備漏れ」です。冷蔵庫の温度は各什器で異なるため、一台ずつ温度記録が必要です。

点検設備漏れが発生する要因としては、以下のパターンがあげられます。

例1)厨房内に冷蔵庫が4台あるが、使用しているフォーマットの温度記入欄が冷蔵庫と冷凍庫1台ずつしかないため2台しか記録を取っていなかった

例2)最近アイスストッカーを新しく導入したが、記録欄を増やすことを忘れていた

例3)そもそもアイスストッカーに温度表示の機能がなく、温度が分からない状態であり、記録を取っていなかった

改善方法はそれぞれ下記の通りです。

例1・例2)フォーマットを使用する際は、店舗にある冷蔵庫と台数があっているか確認しましょう。冷蔵庫の台数が多い場合は、一般衛生管理の実施記録とは別に温度点検表を使用している店舗もあります。

例3)温度表示機能がないアイスストッカーに関しては、別途温度計を購入して設置することが望まれます。

 

(3)計画書や記録の管理不良

衛生検査で計画書や記録を求められた際に、速やかに提出できる管理をしていますか?実際の衛生検査で「計画書をどこに保管しているか忘れてしまいました」というケースがあります。計画書を作成した後は保管場所を定めて管理し、紛失しないようにしましょう。例えば、衛生管理ファイルを作成し、衛生管理計画書や衛生管理の実施記録、害虫駆除報告書などをまとめてひとつにしておくと管理しやすくなります。

また、HACCPに関する文書を作成後、従業員の方に内容や保管場所を共有しましょう。店舗のほとんどの従業員がHACCPに沿った適切なオペレーションを実施していても、ひとりのオペレーションが不適切であった場合、食中毒事故が起こってしまう可能性は十分にあります。
店舗の衛生レベルを維持するためには、計画に沿った正しい手順を共有し、従業員全員でHACCPに取り組むことが重要です。

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5.まとめ~飲食店が今すぐ始めるHACCP対策~

 今回は飲食店のHACCPの導入方法についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。HACCPは一見するとハードルが高いように思えますが、計画、実施、記録、振り返りのポイントを押さえれば、どの飲食店でも実践可能です。まずは行政機関や業界団体が公開しているフォーマットを活用し、取り組んでみましょう。

HACCPを継続的に実施することで、食中毒や異物混入の事故を予防し、お客様へ安心・安全な食事を提供する体制を構築できます。また、HACCP関連の文書や記録は食品事故が起きた際に、店舗で適切に衛生管理を行っていることを第三者へ示す手段としても有効です。

 本コラムでは一般的な飲食店についてのHACCPを紹介しましたが、業態によっては他の管理方法も存在します。BMLフード・サイエンスでは、飲食店のHACCP対応としてそれぞれの業態に合わせた衛生管理計画書のお手伝いから、厨房衛生点検による衛生管理計画の実施状況確認に対応しています。飲食店、ホテル、百貨店など多様な業種業態のお客さまを年間40,000店舗サポートしている経験があるからこそできる高い品質のコンサルティングをご提供しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

 
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詳しくは、「コンサルティングサービス」のページをご覧ください。

こちらのコラムは 第一コンサルティング本部 東京Cグループ が担当いたしました。

第一コンサルティング本部では飲食サービス、給食、ホテル、冠婚葬祭などの事業を営むお客さまに対し厨房の衛生点検や、品質管理システムの構築支援、従業員教育などのサービスをご提供しています。 年間40,000店舗以上の点検実績をもとにした衛生コンサルティングサービスにより、お客さまと共に消費者の安心と安全に貢献しています。

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