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カフェやレストランなどの厨房を有する飲食業にかかわる法令と衛生管理の基礎知識~チェックすべき5つのポイント~

カフェやレストランなどの厨房を有する飲食業にかかわる法令と衛生管理の基礎知識~チェックすべき5つのポイント~

今回のコラムでは、食堂や、カフェ、レストランなど、厨房を使った飲食業を経営されている方が、最低限知っておきたい衛生管理の基礎知識について紹介します。これから飲食業を経営される方も必見の内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

本記事は2023年10月2日に「食堂などの厨房を有する飲食業における衛生管理の基礎知識~チェックすべき5つのポイント~」として公開した内容を、2026年6月29日時点の情報に合わせて加筆・修正したものです。

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1.飲食業と衛生管理の関係とは

 飲食業において、衛生管理はお客様の安全を守るために欠かせない取り組みです。 調理現場では、多くの食材を扱い、複数の従業員が調理や接客を行います。そのため、ひとつのミスが異物混入や食中毒事故につながる可能性があります。

特に近年は、SNSや口コミサイトの普及により、衛生事故の情報が瞬時に広がる時代です。一度事故が発生すると、営業停止や売上減少だけでなく、店舗の信頼回復に長い時間を要するケースも少なくありません。

飲食業を行う上で押さえておきたい法令の一つとして、食品安全基本法があります。 この法律は、食品の安全性の確保に関し基本理念を定め、国、地方公共団体及び食品関連事業者の責務並びに消費者の役割を明らかにしています。

その中で、食品の生産から加工の各段階で直接手を加える立場にある食品関連事業者の責務として「食品の安全性を確保するために必要な措置を食品供給行程の各段階において適切に講ずる責務を有する。」と示しています。



2.食品衛生法に基づいた営業許可

 飲食業を行う上で具体的に必要となるものの一つに、食品衛生法に定められている「営業許可」があります。営業許可は都道府県知事による許可制度となっているため、営業を行う場合には、営業場所を所管する保健所に事前に届け出る必要があります。移動販売に用いるキッチンカーについても、届け出る必要があります。

営業許可の条件となる、厨房が備えているべき設備や、行うべき運用については、食品衛生法施行規則(別表第17から別表第21)に記載されており、例えば以下のような決まりがあります。

● 床面、内壁及び天井は、清掃、洗浄及び消毒(以下この表において「清掃等」という。)を容易にすることができる材料で作られ、清掃等を容易に行うことができる構造であること。

●  床面及び内壁の清掃等に水が必要な施設にあっては、床面は不浸透性の材質で作られ、排水が良好であること。内壁は、床面から容易に汚染される高さまで、不浸透性材料で腰張りされていること。

● じん埃、廃水及び廃棄物による汚染を防止できる構造又は設備並びにねずみ及び昆虫の侵入を防止できる設備を有すること。

● 従業者の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備を必要な個数有すること。なお、水栓は洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること。

● 原材料を種類及び特性に応じた温度で、汚染の防止可能な状態で保管することができる十分な規模の設備を有すること。

 

また、この食品衛生法施行規則のほかにも、自治体毎に条例を設けている場合があるため、所管の保健所に、事前によく確認しておくことをお勧めします。

営業許可には、期限が設定されており、営業許可期限満了後も引き続き営業される場合は、書面もしくは、厚生労働省HP内にある「食品衛生申請等システム」にて更新の申請をする必要があります。詳しくは管轄の保健所にお問合せください。

 

3.食品衛生責任者

食品衛生を遵守する責任者として店舗ごとに「食品衛生責任者」を定めなければなりません。
食品衛生責任者は、必要な衛生の注意を行い、営業者に対し必要な意見を述べる役割があります。
食品衛生責任者になれるのは、調理師や製菓衛生師、栄養士などの資格を持つ人や、都道府県が定める講習会を受講した修了証を持つ人です。これらの資格がない場合、都道府県で開催されている講習会を受講する必要があります。約6時間の講習会受講後に修了証が発行されます。営業許可の申請時には資格の証明として、この修了証が必要となるため大切に保管してください。
食品衛生責任者に定める従業員が退職したり、異動により店舗運営から離れたりした場合には所轄の保健所に「食品衛生責任者変更届」を提出します。食品衛生責任者が不在とならないよう、注意しましょう。

 

4.HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理

  原則としてすべての食品等事業者は、令和3年6月1日から、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理に取り組む必要があります。

 参考リンク:HACCP(ハサップ)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

HACCP(ハサップ)とは、コーデックス委員会が策定したHACCP7原則に基づき、食品等事業者自らが食中毒菌の汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。

小規模な飲食店では、取り扱う食品の特性に応じた衛生管理である「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が求められています。難しい管理ではなく、次のような基本事項を“見える化”し、記録し、定期的な振り返りと計画の見直しを行うことが必要です。

・原材料の受入確認
・冷蔵・冷凍庫の温度確認
・交差汚染
・二次汚染の防止
・トイレの洗浄・消毒
・従業員の健康管理
・衛生的な手洗い
・重要管理のポイント(食品の調理方法にあわせて行う事項)

厚生労働省では「小規模な一般飲食店向けHACCPの手引書」が公開されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html



5.衛生管理で気を付けるべき5つのポイント

店舗

(1)従業員の手洗い・身だしなみ、健康管理

従業員の衛生状態は、食中毒防止の重要なポイントです。

特にノロウイルス食中毒は、従業員の手指を介して汚染が広がる発生するケースが多く報告されています。厚生労働省の令和7年食中毒統計では、患者数の多い食中毒原因としてノロウイルスが最も大きな割合を占めています。

食中毒予防のため、以下の点を徹底しましょう。

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①手洗い

基本的なことなので、軽視されがちな部分ですが、食中毒の原因の多くは、手洗い不足によるものです。一番身近な予防策ですので、手洗いマニュアル等を活用し、きちんとした手洗いを実施しましょう。 (トイレ後、調理施設に入る前、盛り付け前、作業内容変更時、生肉や生魚などを扱った後、金銭授受後、清掃後など手が汚れたタイミングでの手洗い)

手洗いの後には、ペーパータオルで水分を拭き取ったのち、アルコールをよく手指に揉みこみましょう。水気を取り除いた手に、よくアルコールを刷り込むことがコツです。 ノロウイルス対策では、通常のアルコール消毒だけでは十分な効果が期待できないため、洗浄剤(液体石けんなど)で汚れを浮かせて流水でしっかりすすぎ落すことが重要です。

②身だしなみ

従業員の身だしなみは料理の安全のためにも、お客様へ与える影響を良くする為にも重要です。爪を短く衛生的に保つ、清潔なユニフォームを着用する、正しくユニフォームを着用する(髪の毛は帽子に入れる、ボタンが取れたら付け直すなど)、ユニフォームに粘着ローラーをかけるなど、店舗毎のルールに沿ってきちんとした身だしなみを徹底しましょう。

③健康状態

ノロウイルスやサルモネラなどに罹患している従業員が調理に携わった場合、店舗の食材や料理にウイルスや食中毒菌を付着させてしまい、食中毒事故に繋がります。こうした事故防止の為に、出勤時に健康状態を確認し、下痢・嘔吐・発熱など食中毒症状のある従業員を調理に従事させないようにしましょう。手に傷や手荒れがある場合、使い捨て手袋を着用するようにしましょう。 また、不顕性感染者と呼ばれる、症状がない保菌者も存在します。定期的な検便検査の実施により、そのような方も調理に従事することがないようにしましょう。

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(2)店舗の整理・整頓・清掃

整理整頓された店舗は、清掃のしやすさや、異物混入や害虫発生の予防につながります。

・不要物を置かない
・異物につながる私物や文房具や掲示物を持ち込まない
・調理器具や食材は、衛生的な場所で保管をする

といった基本管理が重要です。
ノロウイルス対策には、次亜塩素酸ナトリウムを使用した適切な消毒が必要です。
汚れたトイレの使用がノロウイルスの感染につながる場合があります。トイレの清掃・消毒を実施する場合は、床や便器、手洗い場のほか、手の触れる場所についても実施し記録を残しましょう。

 

(3)調理器具の洗浄・消毒

調理器具の洗浄や消毒が不十分なために、調理器具を介して食中毒菌の汚染を広げたり、本来含まれていないアレルゲンが混入する可能性があります。器具の洗浄・消毒は使用の都度行いましょう。

・まな板や包丁は、生肉用・魚生食用・魚下処理用・野菜生食用・野菜下処理用・調理済み用など用途別に使い分ける
・使用後は都度、洗浄・消毒を行う
・布巾やスポンジも定期的に洗浄・消毒する

また、洗浄用具や洗剤、洗浄に用いる水の温度により、汚れの落ちやすさは変わってきます。これらを汚れにあわせて適切に選ぶことも重要です。
洗浄後は床からの跳ね水に注意し、床から60cm以上の高さのある場所で衛生的に保管しましょう。

 

(4)食材の受入れ・保管・調理

食材管理はHACCPでも重要な管理ポイントです。 

①受入確認

納品時には、

・鮮度は良いか(腐敗していないか)
・保存方法や温度が適切か
・使用期限が過ぎていないか
・包装に破損や溶けた形跡がないか
・異臭がないか

を確認しましょう。特に冷蔵や冷凍の食材が高い温度で納品された場合、すでに食材中に食中毒菌が繁殖している可能性があります。そのような場合には、そのまま調理に使用せず、返品することをお勧めします。

② 温度管理

食材の腐敗や食中毒菌の増殖を抑えるために適切な温度で保管し、日付管理により、味や品質、安全を保てる期限内で使用できるようにしましょう。

食品の温度管理は食中毒菌の増殖を抑えるためにとくに重要な項目です。店舗の冷蔵・冷凍庫の管理温度を決め、温度を毎日確認し、記録を残します。 いつ、だれが、どのように確認し、問題があった場合は、どのようにするか衛生計画に明記し、従業員全員で共有しましょう。

また、食材は先入れ先出しを徹底し、期限管理を行いましょう。

③ 調理による加熱・冷却の管理(重要管理のポイント)

飲食店のHACCP(ハサップ)では、調理中の加熱、冷却、保存などの温度帯に着目し、メニューを分類し、適切な加熱・冷却条件の衛生管理計画を立てます。

衛生管理計画を守って調理を行うことで、加熱不足により有害な微生物が殺菌されずに残ったり、保存温度の不備によって再び増殖することを防ぎます。加熱や加熱後の冷却を計画どおりに実施しているか確認して記録に残します。

また、低温調理についてはとくに食中毒リスクが高いため、科学的な根拠に基づいて加熱・冷却の計画を立てることが重要です。

④料理の提供

提供のタイミングは、安全な料理を提供できているかをチェックすることのできる最後の砦です。異物が含まれていないか、アレルギーを持っている方への提供品として適切か、など、安全な料理が提供できているか確認を行いましょう。

 

(5)従業員への教育

最後のポイントは従業員への教育です。
衛生ルールは、計画するだけでは効果がありません。
「なぜ必要なのか」を理解してもらうことが重要です。

例えば、

・なぜ手洗いが必要か
・なぜ調理工程中に温度確認を行うのか
・なぜ体調不良時に休む必要があるのか

を具体的に説明することで、現場の実践力が高まります。

定期的に衛生教育を実施し、店舗全体で衛生意識を共有しましょう。


関連コラム:知っておきたい!厨房の衛生管理の「3つのポイント」〜

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6.飲食業における食中毒のリスク

※厚生労働省の令和7年原因施設別事件数によると、食中毒発生件数のうち、飲食店が最も多い発生場所となっています。

飲食店では、多くのお客様へ同時に同じ料理を提供するため、一度事故が起きると被害が大きくなる傾向があります。 とくにノロウイルスは、冬季を中心に発生しやすく、少量のウイルスでも感染するため注意が必要です。 衛生管理は「事故を起こさないため」だけでなく、「お客様から信頼される店舗づくり」のためにも重要です。

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7.大きな問題が発生する前にプロの視点でのチェックを実施しましょう

 食中毒を起こさないよう普段から注意をしているものの、ふとした気のゆるみが原因で事故が発生してしまうケースが多くあります。

食中毒を未然に防止するために、株式会社BMLフード・サイエンスでは、飲食店の厨房を衛生の専門家としての目線でチェックするサービスを行っています。

ここまでにお伝えしたような、従業員の衛生状態や、食材・料理や調理器具の取扱い状況などのポイントを確認し、事故が発生しそうな危険な場所を見つけ出し、どのように改善すれば食中毒事故が起きにくくできるかをお伝えしています。

複数店舗を運営している企業であれば、店舗ごとの課題の発見と共に、グループ全体の課題の発見と改善もサポートしています。


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8.まとめ

 飲食業では、適切な衛生管理計画の実践が食中毒事故の防止に欠かせません。最悪の場合、お客様の命を奪ってしまう場合もあるため、決して衛生管理を軽視してはいけません。

今回は、飲食業を行う上で、気をつけるポイントを紹介しましたが、実際に営業するなかで、自分たちが必要なことを実施できているのか不安に感じることがあると思います。

当社の店舗衛生点検サービスでは、それらの不安を解消することが可能です。一度、専門的な視点でチェックを受けてみてはいかがでしょうか。 日々の基本的な衛生管理を再点検し、お客様が安心して利用できる店舗づくりを進めていきましょう。


参考資料:厚生労働省「令和7年食中毒発生状況の概要

こちらのコラムは コンサルティング本部 西日本グループ 大西 景子 が担当いたしました。

コンサルティング本部では飲食サービス、給食、ホテル、冠婚葬祭などの事業を営むお客さまに対し厨房の衛生点検や、品質管理システムの構築支援、従業員教育などのサービスをご提供しています。 年間40,000店舗以上の点検実績をもとにした衛生コンサルティングサービスにより、お客さまと共に消費者の安心と安全に貢献しています。



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