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食品衛生に必須!大腸菌群・糞便系大腸菌群・大腸菌の違いについて

食品衛生に必須!大腸菌群・糞便系大腸菌群・大腸菌の違いについて

 食品製造業に携わっている皆さまは、「大腸菌群」や「糞便系大腸菌群」、「大腸菌」という言葉を、製品の検査結果やHACCP関連資料などで目にすることがあるかと思います。そのような時に「大腸菌群、糞便系大腸菌群、大腸菌はどう違うのか?」「検出された場合、どう解釈や対策をするべきなのか?」と疑問に思ったことはありませんか?

名称が似ていることから混同しそうになりますが、実はこれらは意味や検出された際のリスクの大きさが異なるものです。本コラムでは、食品衛生に関する公的資料や文献をもとに、それぞれの違いと衛生管理への活かし方を分かりやすく解説します。

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1.大腸菌群・糞便系大腸菌群・大腸菌の基礎知識

(1)関係性と定義

大腸菌群・糞便系大腸菌群・大腸菌は、『食品の安全性を評価する衛生指標菌』です。

衛生指標菌とは、その名の通り“衛生状態”の “指標”となる性質をもった菌群のことを指します。食品の衛生状態や、適切な管理・取り扱いがされたかを評価するために使われる指標であり、食中毒の原因となる特定の菌を示す名称ではありません。したがって、食品から衛生指標菌が検出されたとしても、全てにおいて直ちに健康被害が生じるというわけではありません。

では何のために衛生指標菌の検査を行うかというと、例えば、「食品の安全性を確かめたい」と思った場合、病原性大腸菌などの食中毒起因菌が食品中に含まれていないかを検査したくなるところですが、実際には日常検査ですべての食中毒起因菌を一つ一つ検査することは、コストと手間の両方の問題で現実的ではありません。そこで、食中毒起因菌と似た由来と生存条件を持つ衛生指標菌を調べることで、食中毒起因菌が存在しうる状況そのものをリスクとして評価することができるのです。

大腸菌群・糞便系大腸菌群・大腸菌の関係性は、次の図のように整理できます。

E.coli01-1.jpg

定義

■大腸菌群:
グラム陰性の無芽胞桿菌で、48時間以内に乳糖を分解して酸とガスを産生する好気性または通性嫌気性の細菌群

■糞便系大腸菌群(E.coli):
大腸菌群のうちEC培地で44.5±0.2℃で24±2時間培養時に生育し、ガスを産生する細菌群

■大腸菌(E.coli):
糞便系大腸菌群の中で、IMViC試験(生化学的性状試験)の結果が「++--」となる細菌


(2)特徴と検出された場合の解釈

E.coli01-2.jpg


(3)規格基準が定められている食品

食品によっては、大腸菌群や糞便系大腸菌群(E.coli)の食品規格基準が定められているものがあります。

食品規格基準とは、食品や添加物の品質や安全性を確保するために定められた基準であり、主に厚生労働省によって策定されています。規格試験に適合しないものは食品衛生法第十三条第二項により使用・販売等が禁じられています。

E.coli01-3.jpg

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2.大腸菌群汚染の主な原因と対処法

E.coli01-5.jpg

 検査結果を正しく読み取り、適切な改善につなげるためには、「数値を見る」だけでなく、取り扱う食品や調理工程も考慮した解釈が欠かせません。実際の現場では、「この検査結果はどこまで問題視すべきか」「再検査や追加検査が必要か」と判断に迷うケースも少なくありません。そうした場合は、食品微生物検査の専門機関に相談しながら進めることが、結果的に最短で安全性を高める近道になることもあります。

 

3.食品製造において実施すべき衛生管理のポイント

(1)検査の種類と頻度の目安

食品製造業では、製品の安全性を確保するため、計画的な微生物検査が欠かせません。製品検査に加え、拭き取り検査や水質検査を組み合わせることで、製造環境全体の衛生状態を把握できます。
HACCPに基づく衛生管理では、検査結果の記録と継続的な見直しが重要です。

一般的な目安としては、

・拭き取り検査:月1〜2回
・製品検査:ロットごと、または月1回
・水質検査:年2回以上

といった頻度での実施が多いです。

(2)厨房等での衛生管理対策

日常の衛生管理では、基本動作の徹底が何よりも重要です。

①作業前後の手洗い・手指消毒
作業前後に確実に実施します。石けんで手指全体(指間・爪周囲)を洗浄し、 十分にすすいだ後、乾燥させてからアルコール消毒を行います。

②原材料ごとの器具の使い分け
生肉用、生魚用、生野菜用、調理済み食品用など、用途にあわせてまな板や包丁、 ボウル、トングを色やサイズを分けて使用します。

③加熱工程における中心温度管理
加熱は中心温度で管理し、確認・記録を行います。
加熱調理食品は、中心部が「75℃で1分間以上(ノロウイルス汚染のおそれのある 食品の場合は85~90℃で90秒間以上)」加熱されていることを目安にします。

④洗浄作業
洗浄 → すすぎ → 消毒 → 乾燥
の工程を省略せずに行うことで、菌の残存や増殖を防ぐことができます。

⑤作業動線の分離・区分管理
作業区域や動線を区分し、原材料と調理済み食品が交差しないよう管理します。人や物の動きを整理することで、交差汚染(クロスコンタミネーション)のリスク低減につながります。クロスコンタミネーションとは、本来、汚染されていない食品・器具・場所に微生物や異物が別のものから移ってしまうことを指します。


誰が作業しても同じ衛生レベルを保てるよう、ルールの明確化と定着が必要です。

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4.まとめ

(1)大腸菌群・糞便系大腸菌群・大腸菌とは?

大腸菌群、糞便系大腸菌群および大腸菌はそれ自体が必ずしも有害ではありませんが、大腸菌群は環境からの汚染状況の指標、糞便系大腸菌群および大腸菌は糞便汚染の指標となり、同様の経路で侵入する食中毒菌の存在リスクを示すため、食品衛生上重要なものです。

(2)衛生指標菌の定期的な検査の重要性

これらの衛生指標菌の定期的な検査を実施することで、現場で起きている微生物的汚染の傾向を可視化することができます。大腸菌群・糞便系大腸菌群・大腸菌の三者の特徴と意味合いを正しく理解して適切な改善につなげ、重大な食品事故を未然に防ぎましょう。

当社では、食品製造業の皆さまからのご依頼に対し、単に検査結果をお返しするだけでなく、検査目的に応じた項目選定や、結果の読み取りに関するご相談にも対応しています。「どの検査を実施すべきか分からない」「大腸菌群の結果をどう判断すればよいか不安」といった場合は、お気軽にご相談ください。

 

BMLフード・サイエンスは、食品の微生物・理化学検査をはじめ、商品の品質検査、飲食店の厨房衛生点検、食品工場監査、衛生管理・品質管理の仕組みづくり、食品安全認証の取得支援まで、ワンストップでサービスを提供できる総合コンサルティング企業です。 長年培ってきた高度な検査技術とノウハウをもとに、質の高い各種検査とコンサルティング事業体制を構築しており、全国を網羅したネットワークにより、スピーディなサービスを提供します。

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参考コラム・文献

  • 厚生労働省『食品衛生検査指針 微生物編』 
  • 食品安全委員会『大腸菌および大腸菌群の指標性に関する資料』
  • 日本食品微生物学会 編『食品微生物学 ― 基礎と応用 ―』   
  • Codex Alimentarius Commission(FAO/WHO)General Principles of Food Hygiene(HACCPを含む)

こちらのコラムは 検査本部 微生物グループ 吹上 美和子 が担当いたしました。

検査本部では全国4か所の検査拠点にて腸内細菌検査、食品微生物検査、食品理化学検査サービスの提供を行っています。 国内最大級の検体処理数の腸内細菌検査をはじめ、お客さまのニーズに応じた迅速・正確な検査の実施により、お客さまに信頼され、選ばれるサービスの提供を行っています。

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