
令和7年12月25日より、消費生活用製品安全法に新たな規制が施行されました。記載対象製品のカテゴリーとして「子供用特定製品」が新設され、新たな規制や「子供PSCマーク」が登場しました。
また令和8年7月8日からは対象製品の追加もあり、規制への理解はますます重要になります。
今回は、乳幼児用玩具を中心に、子供用製品に関する消費生活用製品安全法の改正ポイントをお話しいたします。
1.改正の概要
子供の製品事故を防止するため、消費生活用製品安全法(消安法)に「子供用特定製品」が製品カテゴリーとして新設されました。該当する子供用製品は技術基準に適合し、且つ適切な表示を行う義務があります。
乳幼児用ベッドは従来の特別特定製品に加え子供用特定製品と分類され、ひし形の子供PSCマークを表示することが求められます。乳幼児用玩具には、丸形の子供PSCマークを表示することが求められます。
また、令和8年7月8日から施行される改正では、ベビーカーとベッドガードにも同様の措置が必要になります。
今回の法改正による新規制は、販売事業者、製造事業者、輸入事業者それぞれに関係するため注意が必要です
子供PSCマーク(技術基準省令別表8、9)

2.乳幼児用玩具の定義
改正された消安法において、乳幼児用玩具とは以下の条件を満たすものを指します。
①遊戯に使用することを目的として設計したもの(玩具であるもの)であって、
②出生後36月未満の乳幼児用のもの。
この定義だけではやや大雑把で、乳幼児用玩具と見なされるか判断に悩んでしまうかもしれません。そのような際は、逆に、乳幼児用玩具の規制対象外かどうかを考えると良いでしょう。
乳幼児用玩具と見なされないものとして、経済産業省は以下をあげています。

「3歳以上を対象とした玩具であっても、乳幼児向けの玩具であることをほのめかす広告があるもの」は注意が必要です。これは本コラムの項目5.にて詳しく説明いたします。
乳幼児が使用するものの中には、例えばぬいぐるみ付おしゃぶりや食品玩具のように、3歳未満の遊戯に加え他の用途でも使用できる製品(複合品)も数多く存在します。そのような製品においては、以下の考え方が有効です。
例)おしゃぶり付きぬいぐるみ

①乳幼児用玩具とその他の部分が明確に区別できるもの
→乳幼児用玩具と認められる部分のみ規制対象
ぬいぐるみ部:規制対象
おしゃぶり部:規制対象外

②乳幼児用玩具とその他の部分が明確に区別できないもの
→乳幼児用の遊戯用と認められる機能を有するものは、乳幼児用玩具として全体が規制対象
→ぬいぐるみポシェットのように、ぬいぐるみはデザイン の一部であり、遊戯目的で使用されないことが明らかな ものは規制対象外
製品の用途や構造を十分に把握しておくことが、乳幼児用玩具に該当するか否かを判断するポイントとなります。製造事業者はもちろんのこと、輸入・販売事業者においても、製品情報をしっかりと把握しておくことが重要です。
3.販売までの流れ
子供用特定製品に該当するもの、すなわち子供PSCマークの対象製品を製造、輸入、販売する事業者は、それぞれ以下の事項を行わなければいけません。
〇製造、輸入事業者
・ 事業届の提出・ 技術基準への適合確認
・ 使用年齢基準の適合確認
・ 警告表示義務の履行
・ 子供PSCマークの表示
〇販売事業者
・ 子供PSCマークの表示確認
ここでいう輸入事業者とは、海外の工場で製造された製品を輸入する国内の事業者だけではありません。特定輸入事業者と呼ばれる、国内の輸入事業者を経由させず一般消費者に直接海外から輸入販売する海外の事業者も含まれます。なお、特定輸入事業者の場合は、国内管理人の設置が必要です。
販売事業者は、表示確認の義務があります。適切な表示がない製品の販売、および陳列は禁止されています。メーカーが作成した表示をそのまま使うこともあるかと思いますが、表示確認は忘れず行ってください。
(施行日以前に製造輸入された製品は改正法は適用されません)。

4.技術基準適合確認
特別特定製品である乳幼児用ベッドでは、登録検査機関による適合検査が義務付けられています。
それ以外の特定製品である乳幼児用玩具は、自主検査によって以下の技術基準に適合することを確認し、検査結果を保管する義務があります。
国の登録を受けた認定検査機関での検査は義務ではありません。

この技術基準以外にも、同等の基準を定めている国際基準への適合確認や十分な技術的根拠があれば、技術基準に適合していると判断されます。具体的には、日本のST基準やISO8124、欧州のEN71、アメリカのASTMなどがあげられます。
5.使用年齢の適合確認
対象年齢の決定には、使用年齢基準(技術基準省令別表第1の2)に沿って定める必要があります。
次の4項を確認してください。

②に示したように、広告はその内容に注意が必要です。乳幼児の使用を意図していなくても、誤用を招くような写真や表示であってはなりません。また③と④で示したように、不適正な対象年齢表示も事故の原因となるため大変危険です。対象年齢表示は単なる表示ではなく、製品の実態に即して設定される重要な情報です。消費者の認識とズレのないように、合理的な根拠を持って表示することが必要となります。
6.表示に関する義務
子供用特定製品に該当する製品には以下の表示が義務付けられています。
・ 届出事業者の氏名又は名称
・ 技術基準省令で指定された警告表示(以下2つは必須)
1 使用年齢基準に沿って定めた対象年齢
2 保護者が見守る旨
・ 子供PSCマーク
警告表示では、対象年齢と保護者が見守る旨を必ず表示しなければなりません。対象年齢の表示は、外国語や数字のみで表記すること(例:Age:1+、3+)は認められません。それ以外にも、製品特徴に合わせた警告表示を行う必要があります。
これらの表示は、製品の表面または容器包装表面の見やすい箇所に、容易に消えない方法で表示する必要があります。いずれにも表示することが困難なものについては、附属する取扱説明書の見やすい場所に容易に消えない方法で表示することが認められています。
7.終わりに
今回の法改正によって、乳幼児用玩具への規制が強化されました。技術基準への適合確認や表示義務など、事業者にとっては負担と言えます。そのため、項目5. 使用年齢の適合確認の項で触れたように、対象年齢を設計よりも引き上げることで規制を回避したくなる気持ちも理解できるものです。しかしながら、本規制は子供たちの一層の安全のために制定されたものです。規制の趣旨を十分理解し、適切な運用が必要です。
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