
本コラムでは、食品偽装の定義や発生原因、発覚時に企業が負う法的リスクから再発防止の実務対策まで品質管理のプロが解説します。食品表示法への対応や、現場の自主点検・監査にそのまま使える確認チェックリストも掲載していますので、品質管理体制の構築にお役立てください。
1.食品偽装とは
食品偽装とは、生産地・原材料・消費期限・賞味期限などについて、本来とは異なる表示を行った状態で流通・市販されることです。「故意でなければ偽装ではない」と思われがちですが、管理不備による結果的な虚偽表示も問題になります。
国際的な食品安全の考え方では、「食品衛生」「食品偽装防止」「食品防御」の3本柱で安全を捉えることが主流です。品質管理の現場では、「誤表示(過失によるヒューマンエラー)」と「偽装(意図的または管理不備による虚偽表示)」の境界を意識した体制づくりが求められます。
2.食品偽装の主なパターンと原因
消費者庁・農林水産省・国税庁が公表している食品表示法の指導件数によると、令和3年度の指導156件のうち、加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が57%以上、生鮮食品では「原産地の誤表示・欠落」が80%前後を占めています。
食品表示法の指導件数

出典: 消費者庁・農林水産省・国税庁「令和3年度食品表示法の食品表示基準に係る指導の件数等について」(2022年)
代表的なパターンとして、
① 原材料変更後の表示更新漏れ
② 仕入先変更による産地情報の不一致
③ 期限ラベルの貼り替えや保管条件変更に伴う期限管理ミス
④ アレルゲン・添加物表示の欠落
が挙げられます。
これらの背景にある主な原因は、食品表示法などの法規制の理解不足、原材料・仕入先変更が表示担当者に共有されない情報断絶、そしてラベル変更時の承認フローの形骸化です。
3.企業が負うリスク
食品偽装が発覚した場合、企業は複数の方面からリスクを負います。法的には、不正競争防止法違反で最大5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(法人は3億円以下の罰金)、食品表示法違反では3年以下の拘禁刑(旧懲役)または300万円以下の罰金が科されるケースもあります。行政処分や取引先からの取引停止・監査強化も起こり得ます。さらにSNS時代においては、発覚した情報が拡散し、ブランドイメージの回復が長期間にわたって困難になります。

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4.防止のための実務対策
食品偽装防止の要点は主に3つです。
① 表示の確認フロー標準化
ラベル・仕様書の作成・変更時に複数部署が承認するフローを文書化し、担当者が変わっても同じ確認ができる仕組みを整えます。
② 証憑とトレーサビリティの整備
産地証明書・規格書・納品書をロットごとに保管・紐付けし、「いつ、どこから仕入れた原料で何を作ったか」を遡れる体制が偽装防止の基盤になります。
③ 従業員教育と内部通報
表示ルールの理解は品質管理部門だけでなく製造・購買・営業も含めた全員に必要です。現場の違和感を報告しやすい窓口と是正フローをあわせて整備しましょう。
5.確認チェックリスト
監査・自主点検の際にご活用ください。
●表示・仕様書の整合性
✔製品ラベルと最新の規格書・仕様書は一致しているか
✔アレルゲン・添加物の表示に漏れ・誤りはないか
✔原材料・仕入先の変更時に表示も連動して更新されたか
●記録・変更管理
✔産地証明書や規格書をロットごとに保管・紐付けできているか
✔製造・出荷記録から使用原材料のロットを遡って特定できるか
✔ラベル変更時に複数部署が確認・承認した記録が残っているか
●監査対応
✔保健所や取引先監査に提示できる資料(仕様書・証憑・記録等)が整備されているか
✔従業員が食品表示法の基本を理解しているか(教育記録があるか)

6.まとめ
食品偽装は悪意だけでなく、管理体制の不備や情報共有の断絶によっても引き起こされます。発覚した際のリスクは法的・行政的・社会的に多岐にわたり、企業経営に深刻な影響を与えます。変更管理フローの徹底と証憑の継続的な整備が、偽装リスクを着実に下げる第一歩です。
BMLフード・サイエンスでは、食品表示の内容が間違っていないかチェックや、食品表示のミスをしないよう社内研修の支援など、食品表示体制の構築を幅広く支援しています。現状の体制に不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。詳しくは下記ページをご覧ください。
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参考コラム・文献
- 1.消費者庁・農林水産省・国税庁「令和3年度食品表示法の食品表示基準に係る指導の件数等について」(2022年)
- 2.消費者庁「食品表示法」および関連ガイドライン
こちらのコラムは コンサルティング本部 東京Aグループ が担当いたしました。
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