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ポジティブリスト制度経過措置満了!6月から完全施行になる制度をおさらい

ポジティブリスト制度経過措置満了!6月から完全施行になる制度をおさらい

 2018年6月に公布された食品衛生法の改正に伴い、食品用器具や容器包装に関するポジティブリスト制度が導入されました。すでに運用が始まっている制度ですが「ポジティブリスト制度って何?」「完全施行までに何をしておけばいいの?」と悩まれる方もいるかと思います。

食に関わる全ての事業者が対象となり、罰則のある制度となっているため、完全施行となる前に具体的な内容を一緒におさらいしていきましょう。

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1.そもそもポジティブリスト制度とは?

 ポジティブリスト制度とは、食品用器具や容器包装の安全性を評価し、使用可能な物質・量などの条件をまとめた一覧表(ポジティブリスト)を作成し運用する制度です。そのため、ポジティブリストに記載の無い食品用器具や容器包装の使用は、原則禁止となります。

食品と接触する可能性のある食品用器具や容器包装を厳格に管理するため、食品の安全性をより高める事が期待されています。

 その一方で、容器等の製造や輸入、販売に関わる事業者のみならず、食品製造や販売事業者もリストの遵守が求められるため、食に関わる事業者は例外なく対応する必要があります。

食品衛生法の改正前は、ネガティブリスト制度のみでした。この方式では、禁止されている材料や物質をリスト化し、それ以外を使用する制度でしたが、新素材が続々と開発されている現代の実情にはそぐわない状況でした。

 

 消費者庁:食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年5月31日まで)

消費者庁:食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年6月1日以降)

食品衛生法 第18条

 



2.どれがポジティブリストの対象?

 ポジティブリスト制度の対象となる材質は、食品衛生法施行令 第1条より「合成樹脂」と定められました。そのため、合成樹脂を使用した器具・容器包装が対象となります。

合成樹脂は、ペットボトルやラップ、使い捨て容器、紙パックや缶詰内側のコーティングと幅広く使用されているため、漏れなく確認する必要が求められます。

(下記の食品用器具と容器包装の定義づけは、食品衛生法 第4条を参照)

 

(1)食品用器具

 飲食器、割ぽう具その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受、摂取に供され、かつ、食品または添加物に直接接触する機械、器具その他の物をいう。

ただし、農業及び水産業における食品の採取の用に供される機械、器具その他の物は、これを含まない。

  例:コップ、茶わん、はし、スプーン、包丁、まな板、製造機械類、運搬具など

 

(2)容器包装

 食品又は添加物を入れ、または包んでいる物で、食品または添加物を授受する場合そのまま引き渡すものをいう。

 例:箱、袋、包装紙など


(3)対象とならない物質

 合成樹脂には、熱可塑性を持たない弾性体であるゴムは含まれません。また、金属などの無機物や紙、木製など、天然物由来の器具や容器包装も対象となりません。

ただし、紙容器や金属缶であっても、容器内側に合成樹脂のラミネートでコーティングされている部分はポジティブリストの対象となります。

 

 

3.事業者が求められている対応とは?

 ポジティブリスト制度を対応するにあたり、事業者が求められているものがあります。その具体的な主な事項は、下記の3つとなります。

(1)製造管理の遵守

 定められた基準に従い、適切な製造管理を遵守する必要があります。一般衛生管理(第1項)と製造管理(第2項)それぞれの基準があるため注意してください。

(詳細に関しては、食品衛生法 第66条の5を参照)
 

(2)情報の伝達

 製造から流通までの過程において複数の事業者が関わります。そのため、ポジティブリストに適合している旨を説明する義務が発生します。

(詳細に関しては、食品衛生法 第66条の6を参照)

 例:営業者間の契約締結時における仕様書、入荷時の品質保証書、業界団体の確認証明書など

(3)届出

 2021年6月から施行された営業届出制度により、管轄する保健所への届出が必要となります。こちらの届出も義務となりますので注意してください。
 (厚生労働省:営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報)

 

 

4. ポジティブリスト制度のメリットとは?

 対応が必須となるポジティブリスト制度を求められる企業への負担は小さくありません。ですが、ポジティブリスト制度にはメリットもしっかりとあります。

化学的に検証された物のみを使用するため、食品品質の安全性が向上し、信頼性の高い製品を提供でき、最新の情報に基づきリストが更新されることから、安全性の評価等のプロセスを効率化できるようにもなり、製品リコールなどのリスク低減も期待できます。

また、ポジティブリスト制度を導入している諸外国も増えていることから、グローバル展開への対応が容易となり、海外顧客とのトラブルも未然に防げるようになります。


  

5.経過措置と罰則

 ポジティブリスト制度は、2025年(令和7年)5月31日までが経過措置期間とされています。

施行前に製造されている器具・容器包装と同様のものは、経過措置期間中は引き続き製造が可能とされていました。

ただし、情報伝達などの義務は同様に課されるため、記録や保存が義務づけられています。経過措置期間を過ぎれば、ポジティブリストに収載されていない物質は使用できなくなるため、注意が必要となります。
(経過措置期間中に製造されたものは使用可能)

 また、ポジティブリスト制度には罰則が存在します。食品衛生法 第83条より、ポジティブリストの規定に違反した場合、「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」に処する旨が定められています。


 

6.おわりに

 ポジティブリスト制度は、必ず取り組まなければなりません。そのため、食に関わる全ての事業者が避けることのできない課題となるでしょう。ただし、ポジティブリストのメリットもしっかりと存在しており、顧客と企業の双方に利益をもたらします。食品業界はより迅速に変化に対応し、最新の安全性と品質管理を満たさなければならない時代へと変化しています。

当社では幅広い知識を持った、経験豊富な審査員がコンサルティングサービスを実施することが可能です。

組織様の現状を確認し、より良い運営を行うために、お手伝いできることがあると思いますので、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 BMLフード・サイエンスは、食品の微生物・理化学検査をはじめ、商品の品質検査、飲食店の厨房衛生点検、食品工場監査、衛生管理・品質管理の仕組みづくり、食品安全認証の取得支援まで、ワンストップでサービスを提供できる総合コンサルティング企業です。 長年培ってきた高度な検査技術とノウハウをもとに、質の高い各種検査とコンサルティング事業体制を構築しており、全国を網羅したネットワークにより、スピーディなサービスを提供します。


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こちらのコラムは 第二コンサルティング本部 札幌グループ が担当いたしました。

 

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