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HACCP制度化で注目されるJFS-B規格とは?適合証明取得までのフローと、取得費用までを解説

HACCP制度化で注目されるJFS-B規格とは?適合証明取得までのフローと、取得費用までを解説

今回のコラムでは、HACCP制度化で注目されるJFS-B規格について、適合証明取得までのフローと、取得費用までを解説します。ぜひ最後までご覧ください。

1.JFS規格とは?


JFS規格は、一般財団法人 食品安全マネジメント協会(JFSM)が運営する食品の安全管理の取り組みを認証する規格です。日本発の規格となっているため、日本の企業文化に沿った内容となっており、事業者の規模に関係なく、誰もが国際標準の食品安全マネジメントを目指せるように作られています。

日本でもHACCPが制度化され、世界的に食品安全の標準化が進んでいる中で、国際競争力強化やさらなる食品安全管理レベルの向上に向けて取得を検討している企業も多くなっています。食品製造事業者は、JFS-A規格、JFS-B規格、JFS-C規格の三つの中から自社の状況、レベル感に合わせて、食品安全レベルの向上に取り組むことができます。

HACCP制度化に伴い、まずJFS-B規格の取得を目指す食品製造事業者が多いです。その後、食品安全レベルのさらなる向上や海外展開を目指し、JFS-C規格の取得に取り組んでいただく。このように段階的に取り組んでいただく場合が多いです。


(1)JFS-A規格


HACCPの弾力的運用による衛生管理に対応した規格です。比較的規模の小さな企業で取得されており、HACCP制度化の「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の水準の内容となっています。


(2)JFS-B規格


HACCP制度化の「Codex HACCPに基づく衛生管理」に対応した規格です。JFS規格の中でも最も取得数が多いこともあり、国内での知名度が高い規格となっています。取引先からの取得を求められるなど国内取引の指標にもされている規格です。


(3)JFS-C規格


国際的な食品安全規格「FSSC 22000、SQF、BRC等」と同等でGFSI(世界食品安全イニシアチブ)に承認された規格です。取得者が国際水準レベルの食品安全マネジメントシステムを有していることを認証します。食品安全レベルのさらなる向上や海外輸出などの国際取引を行うための指標にもなっている規格です。

 

2.JFS規格の構成要素


JFS規格は、組織のマネジメントに対する要求事項であるFSMS(食品安全マネジメントシステム)、危害要因制御の手法であるHACCP(ハザード制御)、一般衛生管理の要求事項であるGMP(適正製造規範)の3要素で構成されています。三つの要素それぞれが相互に作用しているため、どの要素においても欠けてはならないものとなります。


(1)FSMS(食品安全マネジメントシステム)


FSMSは、製品を提供するまでにGMP、HACCPを有効な手順と仕組みで構築できるように要求事項が設定されています。そのため、仕組みを作る上で最も重要な立場である経営者に関する要求事項が複数あることや、仕組みを運用していく中で必要となる手順とその実施について求められています。例として、JFS-B規格の場合は次のような要求事項があります。

  • 経営者、経営層の責任、およびコミットメント
  • 資源の管理
  • 文書・記録の管理
  • 工程及び作業手順の確立、実施、維持、共有
  • トレーサビリティ
  • アレルゲンの管理
  • 食品防御


(2)HACCP(ハザード制御)


HACCPとは、食品製造事業者が食中毒菌による汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする食品安全管理の手法です。

JFS-B規格では、Codex食品規格委員会によって作成された「HACCPシステム適用のためのガイドライン」にて定義されたHACCPの導入が求められており、弾力的なHACCPとは異なり、7原則12手順に基づいた管理が重要となります。7原則12手順をJFS-B規格では次のように要求されています。

 手順1:HACCPチームの編成

 手順2:製品情報の記述

 手順3:製品の使用方法の確認

 手順4:フローダイアグラム(工程図)の作成

 手順5:フローダイアグラムの現場での確認

 手順6(原則1):危害要因の分析

 手順7(原則2):重要管理点の設定

 手順8(原則3):許容限界の設定

 手順9(原則4):モニタリング方法の設定

 手順10(原則5):是正処置の設定

 手順11(原則6):HACCPプランの妥当性確認及び検証手順の設定

 手順12(原則7):文書化及び記録保持

HACCPにおいて、 手順7の重要管理点の設定と、その管理方法となる手順9のモニタリング方法の設定は、とても重要なポイントとなります。重要管理点を正しく定めたが、モニタリング管理が現場で適切に実施されていない場面等は適合証明監査でもよく見受けられます。

JFS-B適合証明監査は、今一度定められたHACCPの管理について振り返る良い機会にもなります。

 

(3)GMP(適正製造規範)


GMPとは、食品を製造するための多岐にわたる基礎的な衛生管理項目です。HACCPを実施するためにはGMPで管理された環境が必要であり、GMPはHACCP実施の土台となります。実際に、JFS-B規格では、次のような要求事項があります。

  • 施設・設備の設計、施工、配置及び作業・製品の動線、交差汚染の防止
  • 従業員の衛生、作業服及び健康管理
  • 従業員への教育・訓練
  • 整理整頓、清掃、衛生、殺菌、消毒
  • 廃棄物の管理
  • 有害生物の発生や侵入リスクへの対策
  • 装置・器具の衛生管理

 

3.適合証明取得までのフローと取得費用


 ここからは実際にJFS-B規格の適合証明を取得するまでのフローと取得費用についてご紹介させていただきます。なお、食品製造事業者の規模等によって取得までの流れや費用については、変動致します。

JFS-B規格 連合証明業務の流れ図


(1)キックオフ

 JFS-B規格の適合証明取得に向けて関わるメンバー(一般的にHACCPチームと呼ばれることが多い)が集まり、トップマネジメント(経営者や経営層)による方針表明と、関係者に対する規格への認識統一を図ります。

 

(2)システム構築(約3ヶ月~)※組織の状況によって期間は変動します。

 
JFS-B規格の要求事項に沿った管理ができるようにシステムの構築を行います。一般的な進め方として、JFS規格の要求事項との乖離点の抽出を行うコンサルティングとしてのギャップ診断、その後、そこで明らかになったギャップを埋めるためのシステム構築を行います。
 

(3)監査


監査は、書類監査と現地監査の2つに分かれています。

①書類監査


書類監査では、監査に先だって事前に提出された書類に対し、監査員が書類監査を行います。製造製品のレシピや、従業員に対する教育記録、機器の校正の記録や、サプライヤーに対する評価、清掃記録表など、製造に関する書類について、規格要求事項に沿った記録や評価を行う仕組みとなっているかどうか、またその仕組みに沿って正しく記録・文章を残しているかを見ていきます。

②現地監査


実際に食品製造現場を訪問し、FSMS、HACCP、GMPが適切に運用されていることを監査します。建物の外周や、建物の管理状況、製造ラインや設備、資材や原料、製品の保管状況など現場監査のほか、従業員へのヒアリングや現場で日々記録している個人衛生や温度点検などの記録表などの書類も監査をします。


(4)登録


①監査のフィードバック


現地監査の最後に、監査員から監査報告書、および不適合が見られた場合には是正要求書兼報告書が提示されます。是正要求書兼報告書が提示された場合は、監査時点では規格要求事項に合致している状況では無いため、不適合となった箇所を規格要求事項に合致するよう是正を行い、監査会社へ報告を行うこととなります。

JFS-B規格はスキームオーナーであるJFSM(食品安全マネジメントシステム)より、監査時における監査員からの指導、助言が推奨される規格になっており、非常に取得しやすい規格になっています。



②判定委員会


監査会社では監査で不適合が見られなかった場合、および監査で不適合が見られその不適合に関する妥当な是正報告を受けたと判断した場合に、判定委員会を開催することになります。資格を持つ判定員が、監査員が提示する資料に基づいて、監査員が適切な監査を行ったかどうか、組織が規格要求事項を満たしているかどうかを判定します。この判定により適合証明の付与が決定します。


(5)取得費用


工場の1ラインでの取得等も可能となっているため、取得を希望される工場の大きさ、製品の特性に応じて費用は増減致します。おおよそ一般的な金額として、監査のみ行う場合は25万円~30万円、コンサルティングを含む場合は、その回数や内容によって別途費用がかかります。一般的にはコンサルティング費用はに15万円/回~30万円ほどが見込まれます。

コンサルティングを入れるかどうか、またその回数は組織の状況によって選択されていますが、多くの企業が数回のコンサルティングを受けて1回は行って、適合証明監査に臨む場合が多いです。

 

4.まとめ


JFS-B規格の適合証明取得までの具体的な内容と流れ、費用についてある程度イメージをしていただけたのではないでしょうか。

少人数で運営していたり、施設の老朽化が進んだりしている場合、JFS-B規格の適合証明取得は無理だと思われている声を聞くことがあります。

しかし、JFS規格の作成に深く係り、JFS-B規格適合証明数トップを誇るBMLフード・サイエンスでは従業員が1桁の事例や、50年以上前に竣工した工場で適合証明を取得した事例もあります。それらの経験により培ったノウハウを生かしたコンサルティングを導入していただくことで、より効率的にシステムの構築を可能にすることができます。

JFS-B規格を導入することで従業員が何を行うべきか自覚を持つようになった、積極的に記録類をつけるようになった、取引先が増え、売上拡大につながった、など、JFS-B規格適合証明を取得して良かったとのお言葉を多く頂いています。衛生管理体制の底上げを行うことができるツールであるJFS-B規格の適合証明取得を考えられている場合は、お気軽にBMLフード・サイエンスにご連絡ください。

 

このコラムの監修者

藤田 孝

株式会社BMLフード・サイエンス 技術顧問
東京海洋大学 大学院 非常勤講師

東京都生まれ。1986年にBMLフード・サイエンスに入社し、食品工場、スーパーマーケット、外食業などのHACCP構築支援に携わるなど、⾷品業界における幅広い知識と経験を有する。 現在は年間約180工場の監査業務、認証取得のコンサルティングに携わり、その他、講演などを行う。 趣味は海釣り。
資格:FSMS主任審査員(IRCA)、QMS審査員補(JRCA)
   PCQIリードインストラクター(FSPCA)
   HACCPリードインストラクター(JHTC)

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