
HACCPや食品安全マネジメントシステムを導入していても、手順の省略や記録の形骸化を完全に防ぐことは簡単ではありません。大切なのは、決められたルールを守るだけでなく、従業員一人ひとりが日々の業務で食品安全を優先して行動できることです。
本コラムでは、食品安全文化が求められるようになった背景と、組織に浸透・定着させるための7つのステップを紹介します。
1.なぜ食品安全文化が必要なのか
HACCPや食品安全マネジメントシステムは、食品安全を確保するうえで不可欠です。しかし、手順書や記録様式を整備しただけでは、慣れによる手順の省略、記録の形骸化、問題の隠蔽などを完全に防ぐことはできません。誰も見ていないときや、業務に追われるときでも、食品安全を優先した行動を取れることが重要です。
2.食品安全文化が求められるようになった背景
「食品安全文化」を食品安全の管理に取り入れる動きは、食品安全マネジメントシステムの評価・承認を行っているGFSI(世界食品安全イニシアチブ)を中心として始まりました。食品安全規格はGFSIによって継続的な改善が続けられていますが、それでも食品事故は発生してしまいます。そこで登場した概念が「食品安全文化」です。
GFSIでは食品安全文化を、「すべての食品事業者に存在する概念であり、全従業員が学び共有する深く根付いた信念、行動、価値観、および暗黙の前提を意味し、これらが統合されて組織の食品安全パフォーマンスに影響を与えるものである。」と定義しています。単に「規則があるから守る」のではなく、食品安全を守ることが組織の当たり前になっている状態を目指す考え方です。
この「食品安全文化」の考え方はCodex(食品の国際基準:政府間組織Codex委員会が作成)にも取り入れられ、2020年、「Codex 食品衛生の一般原則」の改訂時に、以下の内容が記載されました。
「食品安全へのマネジメントコミットメント」
食品衛生システムがうまく機能するための根本は、積極的な食品安全文化の確立と維持である。それは、安全で喫食に適した食品を提供する上で人の行動の重要性を認識することである。積極的な食品安全文化を醸成するためには、以下の要素が重要である。
・安全な食品の生産および取扱いに対して、経営者および全ての従業員によるコミットメント
・正しい方向性を設定し、全ての従業員を食品安全の実践に従事させるためのリーダーシップ
・事業に携わる全ての従業員による食品衛生の重要性の認識
・食品事業の全ての従業員の間で、逸脱および期待に関するコミュニケーションを含む、 オープンで明確なコミュニケーション
・食品衛生システムの効果的な機能を確保するための十分な資源の利用可能性
公益社団法人日本食品衛生協会「Codex食品衛生の一般原則2020対訳と解説-」p.10より引用
このほか、経営者に対しては、実施されている食品衛生システムの有効性を確保することが求められています。これらの内容は、2022年の改訂でも5.一般原則の「5.1食品安全へのマネジメントコミットメント」にも同様に示されています。
CodexはJFS-CやFSSC22000といった食品安全マネジメントシステムの土台となっていることから、それらの要求事項にも「食品安全文化」の概念が盛り込まれることになりました。これにより、近年日本の企業にも「食品安全文化」を醸成することが求められるようになったのです。

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3.食品安全文化を浸透・定着させるには
では、実際にどのように進めればいいでしょうか。以下に、取り組みを7つのステップに落とした例をご紹介します。

4.まとめ
本当に食品安全文化が根付いているかどうかは、方針、教育資料、手順書の中だけでは判断できません。それは、異常時や繁忙期・ピークタイムに直面したときなどに、組織と従業員の判断・行動に表れます。 問題を早期に発見し、隠さず報告し、組織として学び、改善する。この行動が日常の当たり前となった状態が、食品安全文化が浸透・定着した姿です。
当社では食品メーカーや飲食店などにおける食品安全文化の醸成サポートを含めた食品安全マネジメントシステムの構築の支援を行っています。
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参考コラム・文献
- GFSI「食品安全文化」ポジションペーパー Version 2.0
- Codex「General Principles of Food Hygiene(CXC 1-1969)」
- 公益社団法人日本食品衛生協会「Codex食品衛生の一般原則2020 -対訳と解説-」
こちらのコラムは ソリューション本部 工場Bグループ が担当いたしました。
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