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ノロウイルスの主な感染経路と感染防止対策について解説

ノロウイルスの主な感染経路と感染防止対策について解説

ノロウイルスの感染対策は適切に行えていますか?
食品を製造する場所では、安全な食品を提供するために、ノロウイルスを始めとした食中毒のリスクを把握し、対策を取る必要があります。
特に、ノロウイルスには特効薬がなく、下痢や嘔吐などによって脱水症状や、稀にけいれんや意識障害など重篤な症状を呈することがあることから、予防を徹底する必要があります。

この記事では、主に食品を製造する工場で働く方に向けて、ノロウイルスの概要や具体的な対策方法をご紹介いたします。

1.ノロウイルスとは


ノロウイルス(Norovirus)とは、感染性胃腸炎や食中毒の原因となる病原体の一つです。 感染力が強く、少量のウイルスであっても感染することから、集団感染もたびたび報告されています。感染経路はノロウイルスを保有した二枚貝などからの経口感染のほか、感染者の糞便や吐瀉物などによる二次感染があります。

(1)症状

ノロウイルスに感染すると1~2日(24~48時間)の潜伏期間を経て、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱の症状が現れます。
なお、嘔吐や下痢の回数は、日に数回からひどい時には10回以上の時もあり、重症化するほど回数も増えます。発熱については37度から38度くらいの軽度です。
症状持続期は、十数時間から数日程度で、平均で1~2日ほどで収まります。

重症化しやすいウイルスではありませんが、もともとほかの病気にかかっていた場合や、体力の低い高齢者などでは重症化することもあります。
特に高齢者が重症化した場合は、脱水症状が起きたり、症状が長引いたり、嘔吐物の誤嚥などによって二次感染を起こしたりする場合があるため、注意が必要です。

(2)発生時期


ノロウイルスの発生しやすい時期は、冬場の気温が低い11月から3月頃です。
その理由は、ノロウイルスが低温・乾燥を好むためです。また、冬は寒さから換気不足の室内に人が集まって閉鎖された空間で密集する機会が多かったり、手洗いが億劫になることにより、その実施頻度が下がったり、寒気にさらされて体温の低下によって抵抗力が低下するといった影響も、ノロウイルス患者を増やす要因となっています。



2.ノロウイルスの主な感染経路


ノロウイルスの主な感染経路には、大きく「経口感染」「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」の4つがあります。

(1)経口感染


ノロウイルスに汚染された食品や飲料を口にした場合に、ウイルスが体内に入り感染します。
牡蠣やシジミなどの二枚貝を生食や加熱不十分な状態で食べた場合や、ノロウイルスに感染した人が調理したために汚染された食品を食べた場合の2パターンが考えられます。
二枚貝以外では、弁当や菓子、サンドイッチなどから検出された事例があります。

(2)接触感染


ノロウイルスの付いた手で口に触れたり、ノロウイルスの感染が疑われる人とキスをしたりした場合などにもウイルスが体内に入り感染します。
また、ノロウイルスが付いた物が口に触れた場合(例:子どもがおもちゃを舐めるなど)も同様です。

(3)飛沫感染


ノロウイルス患者の嘔吐物や下痢便が床などに飛び散った際に、周囲にいた人がその飛沫を吸い込むことによって感染します。
患者から直接飛沫が飛ぶだけでなく、これを処理する際に飛沫が飛ぶ場合も同様です。

(4)空気感染


ノロウイルス患者の嘔吐物や下痢便が長時間、処理されずに放置されて乾燥し、ウイルスを含んだ塵や埃が舞って、近くにいた人が吸い込むような場合にも感染します。

3.ノロウイルスの感染防止対策


では、ノロウイルスによる感染を予防するために、食品工場では具体的にどのような対策を取ることができるでしょうか?
ノロウイルス食中毒予防4原則と呼ばれる「持ち込まない・つけない・やっつける・ひろげない」に則って対策することが基本となります。

(1)持ち込まない


まずは、ノロウイルスを食品工場内に「持ち込まない」ことです。
従業員に腹痛や下痢などの症状が出ている場合は、製造エリアに入らせないようにしましょう。また従業員が罹患していなくても、手指にノロウイルスが付着している可能性もあるため、製造エリアに入る前の手洗いを徹底しましょう。

(2)つけない


製造ラインを始め、製造に使用する器具類にノロウイルスをつけないための対策です。
前述のように、従業員の手洗いを徹底することや、食品に直接、手が触れないように使い捨てのビニール手袋を着用するなどの対策が有効です。

(3)やっつける


食品や調理器具に付着してしまったノロウイルスを死滅させるための対策です。

食品中のノロウイルスを死滅させるには、中心温度85~90度、90秒以上の加熱が必要です。
また、調理器具などの消毒には、塩素系消毒剤が必要です。一般的な消毒に利用される塩化ベンザルコニウムやアルコールでは、ノロウイルスを十分に死滅させることができません。塩素濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウムなどを浸したペーパータオルなどで、浸すように拭き取りましょう。

(4)ひろげない


それでも、万が一製造エリア内などでノロウイルスが発生してしまった場合は、被害をひろげず、最小限に食い止めるための対策が必要です。
従業員に感染者が出た場合は、ほかの従業員との接触を避け、自宅で休養を取るようにし、症状が完全に回復するまで職場に戻さないようにします。
また、感染者が作業した食品は廃棄した上で、触れた調理器具などは「やっつける」でご紹介したような方法で消毒しましょう。このほか、ドアノブ、スイッチ、作業台なども消毒する必要があります。
もし、感染者が嘔吐した場合は、処理作業の前後で二次感染しないように対策します。マスクやビニール手袋を着用した上で処理作業を行い、床などは塩素系消毒剤を使って消毒しましょう。



4.ノロウイルスの感染対策には食品コンサルの導入がおすすめ


ノロウイルスは、感染力の強いウイルスではありますが、きちんと対策を行えば食中毒や感染を防ぐことは十分に可能です。

ただ、食品工場には、日々の納期に合わせた生産や、新商品の企画や原材料の見直し、製造ラインの機器のリプレイスなど、優先すべき重要な業務が山積みです。
かといって、中途半端に対策しても、ノロウイルスの発生を防ぐことは困難でしょう。

そこで、食品専門のコンサルティングサービスを利用することを検討してみてはいかがでしょうか?
食品コンサルを導入すれば、ノロウイルスの感染予防対策のために従業員の貴重な時間をさかずに済みます。万が一、ノロウイルスによる食中毒や感染症が発生してしまった場合も、適切な対応が可能になります。感染源の特定や感染経路の追跡までサポートしてもらえます。

また、ノロウイルスの感染予防対策が行えるだけでなく、食品表示の確認や品質管理システムの構築まで、幅広い支援が受けられます。


5.まとめ


ノロウイルスは、気温が低く空気が乾燥する冬場を中心に発生しやすく、少量でも感染してしまう感染力の強いウイルスです。集団感染もたびたび報告されていることから、特に一度にたくさんの食品を製造する食品工場においては、感染対策を徹底し、製造した食品を原因とした食中毒を発生させないようにする必要があるでしょう。

対策を行う際には、ノロウイルス食中毒予防4原則である「持ち込まない・つけない・やっつける・ひろげない」に則って行いましょう。

とはいえ、自社のみで本業のかたわら、ノロウイルス対策を行うのは負担ではないでしょうか?
ノロウイルス対策を含む、食品専門のコンサルティングを利用するのも賢い選択肢の一つといえます。

BMLフード・サイエンスでは、食品業界向けの専門コンサルティングサービスを提供しております。ノロウイルス対策はもちろん、厨房衛生点検業務や工場監査業務、食品表示確認業務、品質管理システム構築支援なども行っております。

詳しくは、「食品コンサル」のページをご覧ください。

ノロウイルス

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